ULハイカーや軽量ギアにこだわる方にとって、バックパックはその中核を成す重要な存在です。
軽量性、便利さ、耐久性、安全性に加えて、デザインも自分好みであることが理想的です。今回は、1年以上にわたって使用してきたZpacks Nero Ultra 38Lの感想をお伝えします。

Zpacks / Nero Ultra 38L

Zpacksは、ウルトラライトハイキングギアを専門とするアメリカのブランド。軽量性と耐久性に優れたバックパックやテント、アクセサリを提供し、ULハイカーや冒険家に支持されています。
重量はわずか298g(アクセサリによって変動)。ザックを持っている感覚を忘れるほどの軽量感が印象的。生地はDCFと近しい高強度の素材のUltraが使用されており、軽量ながらも高い耐久性と防水性を備えています。
各部の詳細
- メインコンパートメント

メインコンパートメントの容量は25リットルとコンパクトながら、必要最低限の装備を収納できるシンプルな一気室構造です。防水性の高いDCFと縫い目にはシーム処理が施されており、雨天でも安心して使用できます。フレームレス構造のため、寝袋や衣類などを背中に当たる部分に適切に詰めることで、快適性が向上します。また、トップ部分はロールトップクロージャー方式を採用しており、装備量に応じて簡単に容量調整が可能。
- ショルダーストラップ

パッド入りのショルダーストラップは広さ約7cm、厚さ約1cm強で、ULザックにしてはしっかりと厚みがあります。表面のデイジーチェーンには様々なアクセサリーを取り付けることが可能。自分はボトルホルダーとカメラ取付アタッチメントを取り付けています。
- 背面構造

バックパックの背面には、Neroの代名詞とも言えるシッティングマットが標準装備されています。このマットは背中に適度なクッション性を提供し、直接ザックが背中に触れるのを防ぎます。ただし、他のULザックと同様、汗をかいた時はもちろん蒸れます。マットは取り外して休憩時には簡易な座布団として活用できる点も便利です。
- メッシュポケット

Neroのルックスを印象付ける容量8Lのメッシュポケットは、テントやクッカー、食料などを入れるのに役立ちます。通気性に優れているため、使用後の濡れたアイテムを収納するのに最適で、アクセスのしやすさも抜群です。追加でショックコードを取り付けています。
- サイドポケット

両側に配置されたサイドポケットは伸縮性があり、ウォーターボトルやトレッキングポールの収納に適しています。500mlペットボトルなら2本収納可能。ポケットの角度が絶妙で、歩きながらでも片手で簡単にボトルを取り出すことが可能です。
追加アクセサリ
Zpacks/Neroは自分のスタイルに合わせてたくさんの追加アクセサリがあるのが特徴です。
自分も何点か利用しているので紹介します。
ショルダーストラップパッド

ULザックは肩荷重がメインになるため、荷物の重量が10kgを超えると長時間の使用では肩に痛みや疲労を感じることがあります。このショルダーストラップパッドは、ベルクロでショルダーハーネスに取り付けるだけという簡単な構造ながら、肩への圧力を大幅に軽減してくれます。また、取り付けや取り外しが簡単なため、必要に応じて使用を調整できるのも便利です。
- ヒップベルト

より長期の山行のために途中でヒップベルトを追加。ULにありがちな非常にシンプルで、あくまで軽量性を優先した設計です。必要最低限のサポートを提供するものの、重量を腰でしっかり支えたい方には物足りないかもしれません。ただし、フレームレスバックパックに慣れている方であれば必要十分だと思います。
- ショックコードとピッケルループ

Nero 38の外側メッシュポケットの上にはショックコードを取り付けています。これはヘルメットやスリーピングマットといった大きなギアを固定するために非常に便利です。シンプルな追加カスタマイズですが、収納力が一段と向上しました。さらに冬季の山行用にアイスアックス(ピッケル)ループも追加購入しました。ピッケルだけでなく、トレッキングポールや軽量なスノーシャベルの固定などアイデア次第で応用可能です。
実際の使用感
オールシーズンの日帰り山行から数泊でのアルプス縦走など、数多くのセクションハイクで使用しましたが、背負い心地は予想以上に快適です。荷物の総重量が5〜6kg以下であれば全く負担を感じません。2泊程度のテント泊での装備は十分収納可能です。

バックビュー

フロントビュー

サイドビュー
まとめ

メリット:
- 圧倒的な軽量性と高い耐久性。
- 防水性に優れたDCF素材。
- ミニマリストに最適な設計と機能性。
- シンプルで美しいデザイン。
デメリット:
- フレームがないため、荷重制限がある(推奨は5〜6kg以下)。
- ヒップベルトのサポートが弱く、慣れが必要。
- 長期のハイクや重い装備には不向き。
総評
ZpacksのNero 38は、軽量性と機能性を兼ね備えた、まさにまさにULのお手本のようなバックパックです。最小限の装備でハイキングを楽しみたい方にとっては非常におすすめです。特に日帰り山行や2泊程度のテント泊においてはストレスを感じることはありませんでした。
ただ、3泊以上のテント泊での山行やベースウエイトが重くなりがちの方は、課題に合わせてアクセサリを追加した方がより快適になります。
Nero 38はカスタマイズ性が高いので、自分のスタイルや用途に応じてアレンジできる点も大きな魅力です。国内での取り扱いは限られていますが、ULザックに興味のある方にはぜひ一度チェックしてほしい逸品です。
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